OVERMAN キングゲイナー

OVERMAN キングゲイナー10周年おめでとうございます。
この作品は私にとって初めて撮影監督をさせて頂いた物で、とても感慨深いです。今でも印象に残っているのは『マッハバンドシェイカー』でしょうか。当時初めてのハイビジョン作品と言う事で、一話の制作途中に高解像度ならではの思いもよらない問題、『マッハバンド』がでてしまいました。簡単に言うとグラデーションの暗い部分に本来なら見えてはいけない線が見えてしまう事なのですが、どうしたら良いかもわからず、演出さん達とああでもないこうでもないと相談して、一応の解決方法をなんとか作りだしました。一時制作スタッフの間では初めて聞く『マッハバンド』の単語は流行っていたと思います。

　

キングゲイナー10周年、おめでとうございます。
私の音楽についての思い出と言えば、何と言ってもあの『主題歌』歌詞が先の詞先で制作されたのですが、まず富野さんから( 「どうだ！」とばかりの凄い歌詞が来て、それに私がもっと「どうじゃい！」と、凄い曲をつけて、「この勝負貰った～！」と、思っていたら、富野さんはその曲にモンキーダンスと言う離れ業を使う暴挙に出て、OP映像を作り、「まだまだ青い！顔を洗って出直せぃ～！」くらいのクラクラするほどの映像！モニターの前で敗北を認めた私は、「ま、負けた、、」と。しかし、もうこんな大人げない勝負止めましょうね、、、富野さん。

富野作品として待望のまっさらのオリジナル新作。キングゲイナーを作り上げるために、多くの若いスタッフ(気持ちが若い、も含む)が参加しました。かれらは皆、挑むような気概で富野監督に向っていき、現場はその若さと無鉄砲さにあふれていました。その顔ぶれを見て監督は、この作品にロボットアニメの楽しさを込めようとしたのでしょう。企画当初のシリアス方向から、どんどん楽しくなっていきました。このとき監督が盛り込んだキーワードが『祭り』。その意味を１０年後の今こそ実感しています。

『キングゲイナー』は自分が担当した初めてのTVシリーズ作品ということもあって、最も思い出深い作品の一つです。そして富野監督をはじめ、素晴らしいスタッフの方々とめぐり会えたことも自分の人生の宝になっています。おそらく本作が無ければ今の自分が無かったと言っても過言ではないと思います。
１０周年を迎えるにあたり、あらためて本作のスタッフ＆キャスト、そしてファンの皆様に感謝します。